中小企業の経営者向け!一番最初に読みたかった決算書の読み方!

決算書表紙の画像

はじめに

売上と利益は伸びてきたけど、果たして「お金が残る良い経営」が本当に出来ているのだろうか?と不安に思うことはありませんか?

この記事を読めば、あなたは会社の数字はこうやって見ていけばいいのか!という今まで見えなかった道筋がハッキリと見えるようになります。

とくに、この記事の最後の部分は、今までに聞いたことがないことだと思います。会社数字の考え方の拠り所がわかってあなたは身震いをするかもしれません。

以前、ある上場会社で経理責任者をやっていたとき、リーマンショックの影響をもろに受けてその勤めていた会社が上場廃止になりました。想像を絶する極限の資金繰りを経験し、そのときに決算書などの会計の専門知識は会社が生き延びるためには何の役にも立たないと絶望したことがあるから、この記事の最後の部分を書きました。

企業の経営者が一度は読んでおきたい基本的で大切な知識を解説していきますのでぜひ最後までしっかりと読んでみてください。

決算書の種類

決算書は複数の表の総称です。個人事業主の決算書と会社の決算書は様式が異なります。会社でも上場していない会社と上場している会社とでは様式が異なります。

個人事業主の決算書

個人事業主の決算書は、青色申告の場合は、貸借対照表と損益計算書の2つです。個人事業主の場合、貸借対照表と損益計算書を合わせて青色申告決算書と呼びます。

また、個人事業主の決算書は、白色申告の場合、収支内訳書(損益計算書の簡略版)というものになります。

なお、個人事業主の決算書(青色申告決算書と収支内訳書)は、所得税法という法律で定められています。

会社の決算書

上場していない会社の決算書

上場していない会社の決算書は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書の3つです。合わせて決算報告書と呼ぶことがあります。会計ソフトから印刷をすると表紙に決算報告書と印字されることが多いです。正式名称は計算書類です。計算書類については会社法という法律で定められています。

上場会社の決算書

上場会社の決算書は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、付属明細表の5つです。正式名称は財務諸表です。財務諸表については金融商品取引法という法律で定められています。

その他

製造業は、製造原価報告書が追加され、建設業は、完成工事原価報告書が追加されます。

決算書の作り方

法人の決算書の提出先と提出期限

決算日の2ヶ月後が税金の納付期限ですので、決算日後2か月の期間内に決算書と税務申告書を作って税務署などに提出しなければなりません。上場会社はさらに財務諸表(有価証券報告書)を金融庁へ、決算短信などを証券取引所へ提出しなければなりません。

個人事業主の決算書の提出先と提出期限

個人事業主は12月決算です。個人事業主の方は翌年の3月15日の確定申告期限までに、決算書と税務申告書を作って税務署などに提出しなければなりません。

決算書の作り方

決算書の作り方は、勘定科目などの細かい違いはありますが、法人も個人事業主も基本は同じです。昔は簿記の手法にしたがって手書きで作成していましたが、現在は会計ソフトで決算書を作成するのが主流です。法人も個人事業主も仕訳(簿記でいう取引を5種類に分類したデータ)をパソコンに入力していくことになります。そして一年分の仕訳データを入力し、印刷ボタンをクリックすれば決算書が印刷されます。

決算書の見方のポイント

通常、決算書と言えば、主に貸借対照表、損益計算書の2つをイメージできれば良いと思いますが、キャッシュ・フロー計算書も合わせて財務三表と呼ぶことがあります。

決算書(貸借対照表)の見方のポイント

決算書の一つ目は貸借対照表です。貸借対照表は、「たいしゃくたいしょうひょう」と読みます。「かしかりたいしょうひょう」ではありません。貸借対照表の左側は企業の持ち物リストになっています。ですから貸借対照表の左側を見れば企業がどんな物を持っているのかがわかります。例えば、現金、預金、商品、建物などです。貸借対照表の右上には借金がどれくらいあるのか?が記載されています。貸借対照表の右下には持ち物と借金の差が表されています。他の決算書に比べると少し取っ付きにくいところがあるので貸借対照表を苦手としている人が多いようです。

決算書(損益計算書)の見方のポイント

決算書の二つ目は損益計算書です。損益計算書を一言でいうと企業の儲けを見るためのです。儲けのことを利益とも呼びます。ですから損益計算書を見れば、その企業が儲かっている企業なのかそうでないのかがわかります。他の決算書に比べると取っ付きやすいので他の決算書を見ずに損益計算書で売上と利益だけを見ている人は多いようです。

決算書(キャッシュ・フロー計算書)の見方のポイント

決算書の3つ目はキャッシュ・フロー計算書です。キャッシュ・フロー計算書は、以下の3種類のお金の増減バランスを表しています。1.本業でのお金の増減、2.投資でのお金の増減、3.増資や借金でのお金の増減。これら3種類のお金の増減バランスを見るための表です。キャッシュ・フロー計算書は投資家が投資先を判断するための材料になります。上述しましたが、キャッシュ・フロー計算書は上場会社の決算書には含まれますが、上場していない会社の決算書には含まれません。

決算書(株主資本等変動計算書)の見方のポイント

決算書の4つ目は株主資本等変動計算書です。株主資本等変動計算書は、貸借対照表の右下の部分(純資産の部)の内容を詳しく記載しているものです。他の決算書に比べるとかなり地味な存在です。株主資本等変動計算書を注意深く見るという機会はほとんどありません。

決算書の分析

決算書は、法律などのルールに従って過去の数字をまとめたものです。ルールに乗っ取って作成されていますので、企業間の比較や、期間の比較をすることができます。企業の生産性や健全性などを決算書の数字を使って分析するための指標が数多くあります。

決算書の目的

そもそも決算書は税金を計算するためにあります。税金は決算書に記載されている利益に税率を掛けて計算されます。その利益は税金を算出するために計算されたものであり、お金の実際の動きを反映しているわけではありません。つまり決算書からお金の動きを読み取ることはできないのです。言いかえると次のように言えます。

決算書は先々お金をコントロールしていくための判断材料にはなりません。決算書は経営の役には立たないのです。決算書は過去から現在までの状況を分析することはある程度できますが、決算書の数字を使って未来をコントロールすることは残念ながら不可能です。

決算書の間違った固定観念

巷では、経営者なら決算書くらい読めないとダメだよという間違った固定観念が蔓延しています。決算書を読めるようになれば会社のお金をしっかりとコントロールできるようになって会社にお金をしっかりと残せる経営ができると勘違いしている人がほとんどです。まずはこの決算書の間違った固定観念を取り除いていきましょう。

決算書は全く読めないのに、会社のお金をしっかりとコントロールしながらお金をしっかりと残せる経営をしている社長さんが私のクライアントさんに沢山いらっしゃいます。ソレとコレ(決算書と先々の経営判断)は全く別のことなのです。

簡単に言うとこういうことです。決算書を読めるようになっても資金繰りが良くなることはありません。上場会社の経営者は、株主に説明しなければならないので決算書を読めるようにしておかないといけませんが、上場していない中小企業の経営者は、決算書を読めなくても全く問題はありませんので安心してください。

中小企業の経営者は決算書が全く読めないよりは少しは読めた方が良いかも知れませんが、読めなかったとしも全く問題はありません。それでも、決算書の最低限の知識くらいは身に付けたいというのであれば、拙著『世界一シンプルでわかりやすい決算書と会社数字の読み方』を一冊読めば事足ります。決算書の本を何冊も読んでいる人からは「一番わかりやすかったです」という声がたくさん届いています。もしまだであればご一読ください。遠回りせずに済みます。

まとめ

決算書の売上と利益は社長を錯覚させます。売上と利益が増えてくると、顧問税理士や銀行の担当者から「社長すごいですね」と言われるようになりますよね。周りからそう言われれば「うちの会社って良い会社なんだ」と勘違いしてしまうのも自然な流れだと思います。

会社にお金が残る経営をしていきたいのであれば、決算書は決算書として、お金の動きはお金の動きとして、明確に区別して見ていくようにしていきましょう。