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資金繰り表の決定版「どんぶり大福帳」の行(項目)の追加のやり方

日頃、「どんぶり大福帳」を使っていると、新しい項目を追加したいとか、もう削除したいんだけどな~という項目が出てきます。

そこで、今回は、新しい項目を追加したい場合のやり方について解説していきたいと思います。

項目を削除する具体的なやり方については、別の記事で解説していこうと思っています。

紙面の都合などで本には書き切れなかったことを加筆するようなイメージでこの記事を書いています。なお、記事中、会社とあるのは個人事業主も含みます。便宜上会社と言っているだけです。

拙著「お金が残るどんぶり勘定のススメ~会社のお金は通帳だけでやりくりしなさい」と合わせてこの記事をお読みいただけるとより一層理解が深まります。

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それでは、本題に入っていきましょう。資金繰り表の決定版「やりくり表」の行(項目)の追加のやり方を以下にまとめましたので、じっくり読んで取り組んでみてください。動画もアップしましたのでご参考まで。

はじめに

この記事の構成を説明します。

第1章の内容は、日繰り表と口座別月合計シートで別々に行(項目)追加するやり方の説明です。「どんぶり大福帳」に慣れるまではこのやり方がいいです。

日繰り表、口座別月合計シート、を別々に削除

第2章の内容は、日繰り表と口座別月合計シートをまとめて行(項目)追加するやり方の説明です。「どんぶり大福帳」に慣れてきたらこのやり方が早いです。

日繰り表と口座別月合計シートをまとめて削除

第3章の内容は、全体像シートの直し方の説明です。

全体像シートの赤枠

第4章~第6章は、チェックのやり方とその他の注意点です。

それぞれの内容を動画で補足説明しています。

それでは、以下、順を追って説明していきます。

1.日繰り表と口座別月合計シートで別々に行(項目)追加する方法

日繰り表、口座別月合計シート、を別々に削除

「どんぶり大福帳」に慣れるまでは、このやり方をおススメします。

このやり方の基本的な流れは、

⇒ 日繰り表の行(項目)追加 ⇒ 日繰り表の項目名を入力 ⇒ 日繰り表の計算式の修正

⇒ 口座別月合計シートの行(項目)追加 ⇒ 口座別月合計シートの項目名を入力 ⇒ 口座別月合計シートの計算式の修正

⇒ チェック
です。

(1)日繰り表(12シート)を複数選択する

まずは、日繰り表12か月分(12シート)を複数選択します。

やり方は、一番左側のシートタブ(1ヶ月目のシート)をクリックして選択します。その状態で「shiftキー」を押しながら、12か月目(決算月)のシートタブをクリックします。

日繰り表を選択

日繰り表12ヶ月分(12シート)が複数選択された状態になります。

(2)日繰り表12シートに行(項目)を一括で追加する

①行を挿入する

12ヶ月分の日繰り表シートを複数選択した状態のまま、追加したい部分の行番号をクリックします。

行番号を選択

その行にカーソルを置いた状態で右クリックします。

日繰り表に行挿入

「挿入」を選択します。以下のようになります。

行が挿入された

行が追加されました。

②項目名を入力する

項目名はできる限り通帳の印字通りに入力してください。

項目名を入力する

通帳にカタカナで印字されているのもは、「どんぶり大福帳」の項目もカタカナで入力してください。通帳に漢字で印字されているものは、やりくり表も漢字で入力してください。

通帳に合わせて入力したほうが後々、項目を探すときにストレスが溜まりにくいです。

(3)日繰り表に計算式を入力する

「当月の合計額」のセルに計算式を入力するのですが、直接、計算式を入力しなくても大丈夫です。上のほうにあるセルか下のほうにあるセルをコピーして貼り付けてください。

日繰り表に計算式を入力

「0」と表示されれば計算式が正しく入ったということです。

日繰り表に計算式が入った

これで、日繰り表12シートにまとめて行(項目)を追加できました。

ここまでが日繰り表の説明です。次は口座別月合計シートの説明に入っていきます。

(4)口座別月合計シートを選択する

口座別月合計シートのタブをクリックして選択してください。

口座別月合計シートを選択

ここはとくに問題ないと思います。

(5)口座別合計シートに(項目)を追加する

①行を挿入する

日繰り表でやったのときと同じ要領です。

日繰り表で追加した行番号と同じ行番号をクリックします。

口座別月合計シートの行番号を選択

その行にカーソルを置いた状態で右クリックします。

口座別月合計シートに行を挿入する

「挿入」を選択します。

行が追加された状態になりました。

口座別月合計シートに行が挿入された

②項目名を入力する。

日繰り表で入力した項目名と同じものを入力してください。

口座別月合計シートに項目名を入力

(6)口座別合計シートに計算式を入力する

①「当月の合計額」に計算式を入力する

ここも日繰り表でやったときと同じ要領です。「当月の合計額」のセルに計算式を入力するのですが、直接、計算式を入力しなくても大丈夫です。上のほうにあるセルか下のほうにあるセルをコピーして貼り付けてください。

口座別月合計シートの計算式をコピー

「0」と表示されれば計算式が正しく入ったということです。

口座別月合計シートに計算式が入った

②各月のセルに計算式を入力する

上のほうにあるセルか下のほうにあるセルをコピーして貼り付けてください。

口座別月合計シートに計算式をコピーする

「0」と表示されれば計算式が正しく入ったということです。

口座別月合計シートに計算式がコピーされた

日繰り表と口座別月合計シートで別々に行(項目)追加する方法の説明は以上です。

日繰り表、口座別月合計シート、を別々に削除

念のため動画でも説明しますのでご覧ください。

(8)動画でデモンストレーション

2.日繰り表と口座別月合計シートをまとめて行(項目)追加する方法

日繰り表と口座別月合計シートをまとめて削除

慣れてきたらこのやり方のほうが早いです。わたしはいつもこのやり方でやっています。

(1)日繰り表と口座別合計シート(合わせて13シート)を選択する

まずは、日繰り表12か月分(12シート)と口座別月合計シートの合わせて13シートを複数選択します。

やり方は、一番左側のシートタブ(1ヶ月目のシート)をクリックして選択します。その状態で「shiftキー」を押しながら、口座別月合計シートのタブをクリックします。

13シートを選択

日繰り表12ヶ月分(12シート)と口座別月合計シートの合わせて13個のシートが複数選択された状態になります。

(2)13シートにまとめて一括で行(項目)を追加する

①行を挿入する

13個のシートを複数選択した状態のまま、追加したい部分の行番号をクリックします。

13シートの行番号を選択

その行にカーソルを置いた状態で右クリックします。

13シートの行番号を選択


「挿入」を選択します。

13シートに行が挿入された

13個のシートに行が追加されました。

②項目名を入力する

項目名はできる限り通帳の印字通りに入力してください。

13シートに項目名を入力

これで、13個のシートにまとめて行(項目)を追加できました。あとは計算式の入力です。

(3)シートの複数選択を解除する

計算式を入力するまえに、13個のシートが複数選択されているのを解除します。選択されているシート以外のシートのタブ(全体像シートのタブなど)をクリックすれば解除できます。

シートの複数選択を解除する

これは忘れずに絶対にやってください。

(4)口座別合計シートを選択する

口座別月合計シートのタブをクリックして選択してください。

口座別月合計シートを選択する

ここはとくに問題ないと思います。

(5)口座別合計シートに計算式を入力する

①「当月の合計額」に計算式を入力する

「当月の合計額」のセルに計算式を入力するのですが、直接、計算式を入力しなくても大丈夫です。上のほうにあるセルか下のほうにあるセルをコピーして貼り付けてください。

口座別月合計シートの計算式をコピー

「0」と表示されれば計算式が正しく入ったということです。

口座別月合計シートに計算式がコピーされた

②各月のセルに計算式を入力する

上のほうにあるセルか下のほうにあるセルをコピーして貼り付けてください。

口座別月合計シートの計算式をコピーする

「0」と表示されれば計算式が正しく入ったということです。

口座別月合計シートに計算式がコピーされた

これで口座別月合計シートの計算式が入りました。次は日繰り表の計算式の入力です。

(6)日繰り表のシート(12シート)を複数選択する

日繰り表12か月分(12シート)を複数選択します。

やり方は、一番左側のシートタブ(1ヶ月目のシート)をクリックして選択します。その状態で「shiftキー」を押しながら、12か月目(決算月)のシートタブをクリックします。

日繰り表を選択

日繰り表12ヶ月分(12シート)が複数選択された状態になります。

(7)日繰り表に計算式を入力する

「当月の合計額」のセルに計算式を入力するのですが、直接、計算式を入力しなくても大丈夫です。上のほうにあるセルか下のほうにあるセルをコピーして貼り付けてください。

日繰り表の計算式をコピー

「0」と表示されれば計算式が正しく入ったということです。

日繰り表に計算式が入った

これで、日繰り表12シートにまとめて行(項目)を追加できました。

(8)動画でデモンストレーション

3.全体像シートはどうやって直すの?

(1)「その他の収入」「その他の支出」でよければ何もしない

新しく追加した項目について、全体像シートで別建て表示する必要がないのであれば、とくに何もしません。

この場合、新しく追加した項目の数字は、自動的に「その他の入金」あるいは「その他の支出」の数字の中に含まれます。

その他の入金

その他の支出

(2)別建て表示する場合は行(項目)を追加する

①行を挿入する

追加したい部分の行番号をクリックします。

全体像シートの行番号を選択

その行にカーソルを置いた状態で右クリックします。

全体像シートに行を挿入

「挿入」を選択します。

全体像シートに行を挿入

行が挿入されました。

②項目名を入力する

日繰り表と口座別月合計シートで入力した項目名と同じものを入力します。

全体像シートに項目名を入力

③計算式を入力する

口座別月合計シートから全体像シートに数字を連動させるようにします。(シートをまたいでリンクを貼ります)

まずは、全体像シートの最初の月のセルを選択した状態で「=」イコールを入力します。

全体像シートに計算式をコピーする

その状態のまま、口座別月合計シートを開いて、新しく追加した項目の最初の月のセルを選択し、

全体像シートに計算式をコピーする

エンターキーを押します。

全体像シートに計算式がコピーされた

全体像シートの最初の月のセルに、口座別合計シートの最初の月の数字が連動して自動計算されるようになります。(シートをまたいでリンクを貼ることができます)

そして次に、全体像シートのその最初の月のセルを、その右にある11ヶ月分のセルにコピー&貼付けをします。

全体像シートに計算式をコピーする

文章だとわかりにくいので、動画を見たほうが手っ取り早いかもしれません。

(3)動画でデモンストレーション

4.間違っていないかのチェックを怠るな!

行(項目)を追加したことによって、数字がおかしくなっていないかをチェックします。

以下の3か所をチェックします。

・日繰り表(合計表)の決算月の月末の「のこり(残高)」
・口座別月合計シート(合計表)の決算月の月末の「のこり(残高)」
・全体像シートの決算月の月末の「のこり(残高)」

(1)日繰り表(合計表)の決算月の月末の「のこり(残高)」

日繰り表の残高

(2)口座別月合計シート(合計表)の決算月の月末の「のこり(残高)」

口座別月合計シートの残高

(3)全体像シートの決算月の月末の「のこり(残高)」

全体像シートの残高

これら3箇所の数字が全部同じであればオッケーです。

ひとつでも違えば、どこかでミスをしています。

ミスの原因となっている部分を地道に探っていき、修正します。

5.行(項目)追加で絶対にやってはいけないこと!

(1)行を使いまわさないこと!

同じ行を、ある月は「カ)ヤマダ ショウジ」、ある月では「カ)サトウショウジ」、ある月では「カ)スズキショウジ」というように一行に複数の相手先を入力して使いまわすのはやめたほうがいいです。

これをやるとそのうちグチャグチャになってしまいますので、気を付けてください。

1行につき1項目(=1相手先)が鉄則です。

(2)空白の行を作らないこと!

後で行を追加するのが面倒だから、ひとまず予備の項目用として3行くらい空白の行を作っておこう、と考えがちです。ですが、、、、これもやらないほうがいいです。

上で説明したような、行を使いまわしてしまうことになりやすいです。やってしまいがちなのですが、やらないほうがいいので、これも気を付けてください。

6.行(項目)追加で絶対にやるべきこと!

(1)シート複数選択の解除

上で説明しましたが、「シート複数選択の解除」は忘れずに絶対にやってください。

もし、解除し忘れて、シート複数選択をしたままの状態で何かしら数字などを入力してしまうと、大変なことになってしまいます。

選択しているすべてのシートに意図せずに入力されてしまいます。不必要なシートの不必要な部分にデータが入力されてしまいます。

あとで修正するのは非常に面倒(というかかなり無理)ですので、「シート複数選択の解除」は、くれぐれも忘れないようにしてください。

(2)とにもかくにもバックアップ

行(項目)を追加するときは、その前に必ずバックアップを取っておくようにしてください。エクセルファイルをコピー&貼付けしておけばいいです。これも絶対にやってください。

7.まとめ

「どんぶり大福帳」の行(項目)の追加をする前に、バックアップをとってから作業をしてください。

そして、「複数選択の解除」と「間違っていないかの3箇所のチェック」は忘れずに行ってください。慣れている人間がやっても間違えることがありますので慎重に作業を進めるようにしてください。

やりくり表の作成は、専門性が高いということはなく、またとくに難解ということでもないのですが、ところどころ面倒くさいといえば面倒くさいです。慣れていないとそれなりに根気がいる作業だと思いますので、この機会にじっくり取り組んでみてください。

気になることは、お気軽にお問合せください。


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